L'art fantastique/      幻想芸術

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内外幻想芸術紹介とレヴュー。
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幻想は棺を抜け出でるか?〜「幻想芸術展ー東京ー2008」に寄せて〜

 美術作品は死体とよく似ている。少なくとも、見る側にとっては。たとえ作家がエロスやタナトスをどれほど意識したとしても、絵やオブジェは死体のように静かに佇んでいるものである。絵の中でモチーフは、額という棺から抜け出でることができるだろうか? 今回の展示会では、作品が棺から抜け出そうとしているように感じた。

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 「幻想」という言葉からは何が思いつくだろう? 当グループ、「IFAA」では「幻想芸術」をくくりに、若い作家からベテランまでが所属している。それは様々な人間が集まっている当グループの展示会であるからだろう、作家それぞれ、多種多様の「幻想」の表現を見ることが出来た。
 話を戻すと、「幻想」とはどういうものだろう?
 辞書には、

げんそう ―さう【幻想】
現実にないことを思い描くこと。また、その思い。
「―をいだく」

三省堂提供「大辞林 第二版」より

と、ある。
 幻想とは現実にないものの空想、と世の中では定義されているようである。現実にはない空想。それは、より一層作家の作家性が表れるテーマであろう。見る側にとっては、作家の頭の中を切り開き覗くイメージ、といったところか。

 今回の「IFAA」展示会は通算第4回目にあたる。
今回の展示で、私見として目立っていると感じたものは女性作家のエネルギーの強さだった。若干二十一歳の画学生や、多岐にわたって活躍幅を広げているCG作家など、比較的若い年齢の作家やベテランの域に達した作家などの女性の活躍が目立った。

 男性と女性の違い。男性と女性の「幻想」の違い。ここに今回は注目したい。

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 とある画家が以前言っていた言葉だが、「女性作家は子供の妊娠、出産で作風が一気に変わることがある」と言っていたのを思い出した。女性には生理がある。その経血を毎月、大方の女性は目にしなければならない。特に若い女性作家の多い当グループでは、それを目にしなければならない作家が多いだろう。女性は、それによって現実と対峙しなければならない。そんな女性の描く「幻想」と男性の「幻想」。ここには大きな違いがあるように筆者は思う。女性の生理は、自然の摂理の一つだ。女性は、常に自然の摂理に抱かれ生きている。今回の女性作家の作品は、エロスもタナトスも振り切っていった、「自然」の中の一つであるようなエネルギーに満ちていたように思う。その作品は「死体」に息を吹き込まれて、棺を抜け出た、いわばその作家の子供であるかのように、世界の、自然の摂理の一部と化している。

 一方男性作家の方は、というと、インナーワールドとでも言おうか作家自身の世界の広さで完結している。一見エネルギッシュに見える幻覚的作風の作家さえも、その実は自分の世界の一部を切り取った作品であるように思う。もちろん、それは作品の価値を下げるものではない。むしろ、作品のクォリティにとって最も重要なものである。神経症的でもあるような、男性作家のその世界の構築は、どこまでも緻密に作品世界を紡ぎ上げる。そしてそれは、見る側に窒息と眩暈を起こさせるような世界、完成度を誇る。

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 女性作家の「幻想」は息を吹き込まれて、やがて自然の世界に同化するだろう。男性作家の「幻想」はどこまでも深く、作家そのものを体現していくだろう。

 「幻想」は現実にないものであることは先に記述した。「死体」も現実世界ではメディアから周到に隠され、基本的に無いかの如くされたものである。だから見る側は、美術作品に「死体」のような印象を受けるのかもしれない。
 だが、今回の展示会に至って「幻想」は、社会のそれを超え「世界」を内包する、新しい世界の接触への試みのように感じた。

                        (矢野沙織/美術評論)
photo by gradiva.inc - -
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